知識を積み上げる
今日、明細書を訳していて、色々気になる言葉が出てきました。
例えば、以下の文で見てみると、
「前記ステントと前記プッシャーカテーテルとは略同一の肉厚であることがより好ましい。」
まず最初に引っ掛かったのが「略同一」という部分。
初めて見ました。
略、だから省略の略なのかと思いましたが、それでは意味が通らない。
中国語原文を訳すと、「ほぼ同じ」という意味です。
そこで、「略」を調べてみたところ、「大体」という意味なのですね。
つまりこの文章であればやはり意味としては「ほぼ同じ」という事です。
今まで、”ほぼ同じ” という言葉は、特許明細書において多く見てきましたが、この表現は初めて見ました。
やはり、明細書を読む量が足りていないのだなあ、と反省。
こちらのHPを参考にさせて頂きました。
こちらに書いてある「近傍」等も頻出ですよねw
読んでみて、だからしょっちゅう出てくるのね、と思わず納得してしまいました。
「望ましいとの記載も言い切らないあたりがポイントとなります。」という説明も思わず笑ってしまいましたが、でも、確かに”言い切らない”という事は特許において大切なポイントなのかも、と思いました。
「略」という言葉は見慣れた漢字ですが、その意味はさまざまあるという事に改めて気付き、自分が当たり前に使っている言葉も、その場面では当たり前ではないかも、と疑わなくてはいけないと思いました。
また、管理人さんに以前アドヴァイス頂いた事ですが、違和感を感じたら必ず調べる、という事は、必ず行っていきたいと思います。
そして同じ文章からもう一語。
「肉厚」です。
ステントで肉厚?
ステントは厚みを表現するのに「肉厚」と使うという事?
と思い、調べてみたところ、普通に論文等にも
「ステントの肉厚を従来のものより薄くする必要があると考えられる.」
等との表現がされていました。
中国語では
「管壁的径向的厚度」
と書いてあり、単に「厚み」だと思ってしまいました。
調べたところ簡単にステントと関連して「肉厚」が出てきましたので、この分野の私の知識が足りていない、という事に他なりません。
確かに「厚み」でも意味は通じると思いますが、「この人はステントの知識があまりないのね。」と思われてしまうに違いありません。
類似特許を読んできて、私でも「この翻訳をした人はあまりこの分野に詳しくないんだろうな。」と思った事があります。
翻訳会社の方が見れば、言うまでもないと思います。
当業者が使う言葉にもっと敏感になり、きちんと使い分けできるようにしなくてはならないと思いました。
この辺りは、学習を積み重ねて確実に知識を積み上げていくしかないな、と思いました。